アラン・デュカスの料理教室に参加しました。べスラ・ド・ベルフォンというシャンパンの会社とのコラボレーションで、シャンパンに合う料理を学ぼうというクラスです。講師はシェフ・プロフェッサーのクリスチャン・ジュリヤール。モナコでデュカス・プロデュースによるレストランのシェフを経験した後、パリのプラザ・アテネの「アラン・デュカス」のオープンに貢献した36歳のシェフです。

 スクールは東京の半蔵門線・水天宮から徒歩5分のところにあり、中世のワイン倉にあるような重い木の扉を開くと、そこにはアラン・デュカスの世界が広がっています。ドアから一歩足を踏み出すと、まずロマネコンティでいっぱいのケースに蹴躓きそうになるほど、ロビーはフランスの代表的なワインで埋め尽くされています。もうこの段階でフランスの三ツ星気分でいっぱいになります。そしてキッチンと世界のデュカス関連のレストランのメニューや、本がおかれているダイニングがあるメインルームへと導かれます。キッチンはプロ用の本物のレストラン仕様。デュカスのレストランの厨房が再現されているといっても良いくらいです。つまりデュカスの舞台裏を実体験できる、というわけです。

 クラスは3時間なので、一緒に料理を作るというよりは、クリスチャンが作っている様子を見ながら、説明を聞いたり、デュカスの料理への考え方やアイデアを学ぶ、といった感じです。しかし、ただ聞いているだけではなく、スプーンを持ち歩いて、調味料やブヨンなど自由に味見できるので、厨房を宝探しのようにキョロキョロしながら受講することになります。そして、メニューは「アラン・デュカスのリビエラ料理」でアミューズ三種とメインとリゾットです。リビエラ料理とは南仏からイタリアにかけて食される庶民的料理のことです。庶民料理といってデュカスの冠がつけば当然三ツ星の味になります。それらの料理はすべて実際にデュカスのレストランで出されたもので、それぞれシャンパンと供に試食できるので、超贅沢クラス、というわけです。

アミューズ三種シーザーサラダのサンド魚のジュレ
 アミューズ1:魚のスープとザリガニ
スープといっても魚のニコゴリのためにジェリー状になっています。色々な魚を使って味を複雑にしています。それにザリガニをトッピングし、生クリームとコライユ(ザリガニのメスの卵巣のようなもの)を加えたものです。
 アミューズ2:海老のロワイヤル
海老のすり身に海老の頭などから作ったソースをかけ、海老を丸ごとつかったもの。
 アミューズ3:シーザーサラダのサンドイッチ
レタスにパルメザンチーズと特製ソースをトッピングして一口タイプにしたもの。

 もう、全部トレビア〜ンです。特に魚のスープが個人的にはお気に入り。

■「ヴィテッロ・トンナート」、まぐろの腹身、薄切りのセロリメイン1(肉)盛り付け 肉を切る
 






いよいよメイン。ヴィッテロとは子牛のことで、トンナートとはマグロのことです。子牛をロゼ(肉に完全に火を通さないで、中をピンク色の半生焼き状態にする)にオーブンで焼き、薄くスライスして、マグロと特製ソースを合わせたもの。
 まず、シェフ・プロフェッサーのクリスチャンの言葉で印象に残ったことがいくつか。1、パスタでよく聞く「アルデンテ」という言葉があるように、食材に完全に火を通さない方が、エネルギーが蓄積される前に消化されるので、体に良い、とのこと。2、トッピングのセロリを切っていたとき、セロリの小さな芽を大事そうに切り取り「小さくて可愛いものは取っておきましょう」と言った事。フランスでは「プチ」つまり小さい、という事は可愛くて美しいことなのです。ということは、ミミは背が低い、つまりプチ。つまり、可愛い、てこと? 誰?そこで横に大きい、といったのは! 今度からミミではなく、ミニと言う名前に変えようかしら。クリスチャンはセロリの芽を飾り付けに後で有効に使っていました

乾燥かつおのコポー、ガンベローニのリゾットリゾット
 ガンベローニとはジェノバ産の海老のことです。乾燥かつおとは鰹節のこと。リゾット一つ作るにしても、本当に手間がかかっているのには脱帽します。オマールのヒュメだとか、白い鳥のブイヨンだとか、見えない隠し味がたっぷり。そしてビックリしたのが写真の甲殻バター。澄ましバターに海老の頭などでだしを取ったエキスを混ぜたもの。初めて見たので、甲殻バターをパクリと味見。う〜ん、海老の風味がします。当然ながら。

 美しく盛り付けられ、美味しい料理とシャンパンをたっぷり楽しんでいる間、厨房では片付けが。何本もある包丁を一本一本シェフ・プロフェッサーが自ら磨いで、大事そうにアタッシュケースにしまっているのが印象的でした。やっぱり職人さんであり、アーチストなんだなあ、と思った瞬間でした。

 ウチに帰ってさっそくダーリンことフランス人シェフのロロさんに報告。もらったレシピを熱心に見て、「良い経験をしたね」といってくれました。最後まで読んでくださり、ありがとうございました