ミュンヘン

 スーティーブン・スピルバーグ監督の映画「ミュンヘン」を観てきました。1972年にミュンヘンのオリンピック村で黒い月というテロリストたちに11人のイスラエル人アスリートが暗殺された事件が背景にあります。イスラエル政府はテロリストに復讐を誓い、モサドを使って首謀者たち11人の暗殺を計画します。その中心に抜擢されたのがアヴナーで、彼の国への忠誠や家族への愛、狙われる恐怖など様々な要素に時には板ばさみになり、ときには駆り立てられながら、人間として苦悩していきます。実際の話に基づき、人間のダークな面を掘り起こした映画で、ミミ好みの秀作でした。

 しかし、映画を観ていた劇場で、もう一つのミュンヘン事件が起こったのです!ミミは劇場のやや前方よりの列の真ん中より少しスクリーンに向かって右よりに座っていました。8割位の入りだったので、ミミの両脇の席は空いていたのです。映画が始まってから約30分くらい経って、どんどん映画がこれから面白くなっていく、という矢先に一人の男性が列を掻き分けながらミミの隣に座ったのです。
 最初に気になったのはその人の匂い。男性用コロン+強烈なハッカ臭。仁丹を1キロくらい噛んでいるのかなあ、というくらいです。ちょっと不快に思っているころ、その男性の手がミミの膝辺りに触れたのです。イヤ〜な予感にちらりと男性を見ると初老の紳士タイプ。つまり服装は背広できちんとしている感じ。まあ、偶然手が当たったのかなあ、と思っていると、再び手が伸びてきました。もうこれは痴漢に間違いなし! 「せっかくの映画が台無しじゃん」と心の中で毒つきながら、あまり事を荒げるのも自分の損だと思い、痴漢男と反対側の空席に黙って移ろうと思いました。
 そして移ろうとしたその瞬間。その空席の隣のこれまた初老の男性が目に入ったと思ったら、ナントその男性が鼻くそをほじっているではありませんか!! 暗闇だと思っているせいか、もう堂々と指の回転運動がはっきり見えるくらい鼻をほじくっているのです。
 もう、究極の選択です。だってもし、その男性も痴漢だったら? その鼻をほじくった手で触られることを考えたら、もう〜卒倒しそうな気分でした。そのときその鼻くそ男が隣の女性に話しかけているのに気がつきました。カップルか〜。じゃ、少なくとも痴漢はできないよね〜、と一人納得し席の移動完了。
 しかし、左手の鼻くそ男にはなるべくくっ付かないようにし、そして反対側の一つ席を隔てた痴漢男にも緊張感を持ち、かなりきつい映画鑑賞でした。でもまもなく痴漢男は席を立ったのでまあ、ましになりました。その男は最初から痴漢目当てで映画館に入ったのですね。

 というようなもう一つのミュンヘン事件があったにもかかわらず、はやり映画はすばらしく、映画の原作「標的は11人」(新潮文庫)もゲットしました。映画を観てから原作を読むとさらによく理解でき、面白みも深まります。でもなぜか、原作を読んでから映画を観るとがっかりすることが多いです。やっぱり活字によって掻き立てられた人間のイマジネーションは大したものなんでしょうね!

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