ブログを書き始めた頃は日ごろのつらつらした国際結婚与太話をよく書いていたのですが、お店を始めてからすっかり営業ブログになってしまいました。そこでたまにはつらつら話しです。
 それにしても、昨夜の仲秋の満月は美しかった。閉店後にマルシェロロのテラスでフランス人シェフで夫のロロさんと月見酒。
フレンチレストランらしくワイングラスを傾けながらのお月見でしたが、中身はワインではなく日本酒がなみなみ。お月見という日本の風流にはやはりポン酒とススキがあう、という昨夜の気分だったのです。ただしススキは用意できませんでしたが。
 一方ロロさんはフランスにはお月見の習慣がなく、月を愛でながら酒をたしなむ、という気分ではないらしく、
「月の中のウサギをさがしてみよう」とウサギをさがしながら、最近凝り始めた日本酒くをうまそうに飲んでいました。
その日のお酒は石神井園南口にある酒屋さん「いせや」のマダムおすすめのお酒「日置桜純米ひやおろい山装う」です。9月にしぼったばかりの秋のお酒でまさに仲秋に飲むのにぴったり。一口飲んで「ブファー」と思わず悶絶。
 『はじめ人間ギャートルズ』というアニメをご存知の方ならマンモスつまみにはじめ人間たちが「ブファー」とどぶろくを飲むシーンを思い出していただけると、どれだけおいしかったか想像ができるはずです。
 常温で飲むと味が舌の中で甘み、苦味、酸味と華麗に変化していくのです。日本酒っておいしいなあ。
 私が「ブファー」と言っている間、ロロさんはやはりシェフ根性が抜けず、
「この酒にはアンキモのジェリー寄せ、いやいやニジマスのエスカベッシュがあう」とつぶやいておりました。
 次回は8年後という貴重な仲秋の満月を見ながらおいしい日本酒を飲んでいると、ふとある新進作家の言葉が頭をよぎりました。それは「酒はうすめて飲むな」という言葉です。正確にはその作家山口恵以子さんのお父さまの遺言です。つまりどんな酒でも酒は職人さんが丹精こめて作るものだから薄めてのむと失礼だ、ということらしい。そんな遺言をするお父様をお持ちの山口さんは今年松本清張賞という文学賞を受賞してゲットした賞金500万円を「全部飲んでやる」と豪語している無頼派です。50歳台半ばにして脚光を浴び、現在食堂のおばちゃんをしながら執筆活動をされています。そしてその座右の銘は「細かいことは気にしない」。日置を飲みながら「酒を薄めて飲まず、細かいことを気にしないってなんて素敵なんだろう」と酔った頭でなんだか当たり前のことなのに大発見をしたようなうきうき気分になったのでした。だって人生短いんですもの。細かいこと気にしてられませんよねえ。
 そして翌日つまり今朝。はしゃぎすぎたのか頭がいた〜い。「酒は薄めて飲まない」を座右の銘にするにはまだ修行が足りず、とりあえず「細かいことは気にしない」だけ私の座右の銘にしとこっと。