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 毎年8月になると戦争にまつわるものが読みたくなる。
 
 吉田裕著『日本軍兵士』を読む。大学の先生が書いたものらしく沢山の資料や文献から生の兵士の声を沢山拾っている。

 第3章「無残な死、その歴史的背景」の中でいくつか印象的な記述があった。

・敗戦が決定的だったのに、戦争終結という国家意思の決定が遅れた背景は? 

明治憲法体制の欠陥である。憲法を作るにあたって、天皇大権が空洞化するのを恐れて政治権力の多元化を選択したので、複雑な制度設計になってしまった。と、いうことらしい。「戦争終結」と言える決定権のある人がいなかったのだ。

・戦争末期の兵士不足を補うためどうしたか? 

少年兵に依存した。アメリカやイギリスやロシアは女性兵を配員したが、日本は女性は家を守るものという考えだったので、せいぜい通信兵ぐらいしかいなかった。そこで14歳以上の少年兵を3カ月ほど訓練して送り出した。

母のお兄さんが17歳で戦争末期に戦死したのもそのような背景があったのかもしれない。

・通信機器は?

陸軍では無線より有線を重視していた。なので爆撃でいとも簡単に通信経路が経たれてしまう。その場合、人力で伝言ゲームのように連絡をとっていたらしい。無線があっても米軍の携帯用のハンディな無線機はなく馬に担がせないと運べないくらいの大きさの無線機だった。そして伝書鳩。伝書鳩が大事な通信道具だったのだ。欧米列強に比べて日本は明らかに後進国だったのだ。

 本書は最後に俳人の金子兜太氏を紹介して締めくくる。日本軍礼賛や日本軍の過大評価の風潮もあったが、だからこそ戦場の凄惨な現実を直視する必要がある、という。金子氏はトラック諸島で従軍し、「死の現場」を繰り返し強調するのである。

 今月のうちに金子氏の著書も読んでみよう、と思った。