ディジェスティブ オードヴィとはフランス語で「命の水」という意味ですが、一方で「ブランデー」という意味もあります。さすが大人の国フランス、命の水イコール強い酒なのですね。
 
 ダーリンことフランス人シェフのロロさん がヘッド・シェフを努めるブラン・ド・ミュゲで7周年記念特別メニューのシメで飲んだディジェスティブ(食後酒)もオードヴィです(写真)。コニャックアルマニャックもオードヴィの一種で、特定地域のブランド酒です。

 写真右はシャルトリュ−ズ・ヴェールです。ブランデーをベースに130種類の薬草が調合されていて、フレンチアルプスの中のラ・グランド・シャルトリューズ修道院で作られています。いわゆるモンク・リキュールの代表格です。ホームページにはフードがついた修道士服を身にまとったモンクが樽を世話している写真など紹介されています。現在では民間の会社で製造されていますが、今でもなお、ハーブの調合のレシピついては選ばれた3人の修道士以外は知り得ない秘密となっているそうです。もともとの歴史は19世紀初頭のアンリ4世の時代にさかのぼり、当時不老不死の薬と呼ばれたある薬がベースだとか。味は甘めの味に複雑な薬草の味が苦味のアクセントになっている感じ。ヘヴィなフレンチを食べた後に胃がすっきりしてよいかもしれません。しかしアルコール度数が55度と高めなので、飲みすぎには注意しましょう。

写真左は、レストランのオーナーのお父さんが作った自家製オードヴィ(だからボトルは無視してね)。ものすごく強い! アルコール度数も多分かなり高い。シャルトリュ−ズの55度よりは少なくとも高いと思う。そしてハーブがきつい。でも美味しかった〜。おかげで翌日は二日酔いでしたが・・・。

実はフランスではワインはOKですが、オードヴィを民間人が作ることは法律で禁止されているのです。だから、フォーマルにいうと密輸された密造酒をミミは飲んだ、という恐ろしい記述になります。しかし実際は黙認状態で、特に田舎では広く作られていて、○○さんちのオードヴィ、といってよくプレゼントされているようです。実際ロロさんの田舎に行っても、友人たちとの食卓での会話の主役として、自家製のお酒の自慢大会が始まることがよくあります。日本だと「今度○○ブランドのニューモデルのゴルフクラブ買ったんだ〜」とか「新車買ったんだ〜」とかいう自慢話が主流だとしたら、フランスの田舎では「今度の自家製ワイン、出来がいいんだ」とか「オレのオードヴィは村一番だぜ」となる訳です。そして本当にその酒の出来がよいと、みんなで尊敬の眼をそのつくり手に注ぎ、口口に賞賛の嵐となります。そして、そのつくり手の自慢な満足げな表情はこの世の幸せのクリームを頂いた、という風になるのです。

やっぱり、フランス人にとってまさに生きがい、オードヴィ(命の水)なのですね。

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